がぱり、と亀裂のごとく、顎が開いた。

 黒くぬめった口腔に覗く、それもまた黒い乱杭の牙。
 一本が樹木ほどもある四肢を踏みしめ、頭を振り、どるおおおうと天を揺るがす大咆哮。騎士の乗っている馬の尾毛や長衣の裾が、振動を受けてびりびりと震える。
 だが妙なことに、あたりの木々は葉を揺るがさず、しんと黙して佇んだままだ。

 天衝く大犬が、更に一歩ずしりと踏み出す。
 肚の底から揺らぐその地響きを受け止めているのも、威容の甲冑を着けた騎士と彼の乗騎だけであるらしい。巨獣が背後に護る長閑き霊樹の館は、あくまでも静謐を保っている。
 その家のバルコニーの奥から、細い、小柄な人影がこちらをじっと窺っていることに彼は気付いていた。術者はあそこにいる。

 髑髏の騎士は、色持たぬ空洞の眼窩を魔女の守護獣に向けた。
「……神島の黒妖犬モーザ・ドゥーグか」
 死と災禍を呼ぶ、幽界の狂犬を模したゴーレムだ。大きさだけならクシャーンの使う戦象と同等、だが俊敏さは鈍重な象どもをはるかに凌ぐ。騎士はひらりと騎馬から降りた。これと対峙するには小回りを利かせたほうがいい。
 黒妖犬の全身は、てらてらと濡れたような反射光に包まれている。水分によるものではなく、金属の光沢だ。魔女の造るゴーレムの材料は、通常ならただの土が使われる。興味本位でやってきた村の少年や、迷いこんだだけの旅人を追い払うときのゴーレムは、丸みを帯びた人型だ。一種の異様さはあるが、砕けばもろいので相手に大怪我をさせることはない。相手を恐れさせ、あるいは疲労させて自ら逃げることを選択させるためのものだ。
 だが、この巨獣は違った。
 原材料である土中から鉱物だけを選り抜き、表面をそれで厚く覆っている。さすがに中身までは無垢の金属ではなく、中心部に近づくにつれ成分は岩石や硝子質が多くなるが、強度は格段に跳ね上がる。生半可な得物ではへこみもしない。
 無論、人の子の斃せる相手ではない。

 抜刀した影は、無音のまま地を蹴った。
 水平に薙ぐ、瞬光の一閃。脚を封じることを狙ってのものだが、生じたものはぎん、と耳障りな金属音と青白い火花だけだ。黒妖犬はよろめきもしない。むしろ素早く身を捩じり、刃を振り抜いた相手の隙をついて背後から喰らいつく。がづん、と歯列が合わさる。
 凶悪な顎が捕らえたものは、黒い残像だけだった。間髪入れず横に転がることで猛襲を避けた騎士は、視線をひたと敵に向けたまま、刃を正眼に構えなおす。
 余人が見ても解る。本気の殺し合いだった。

 剣士の脚が、再び地を弾く。
 また打ちかかる、と見せかけて、瞬時に進路を逸らし真横の立木へと走る。幹を駆け上がり、それを足場にして巨獣の頭上高くへ跳躍する。
 だが黒妖犬の反応も遅れてはいない。応じて天を睨み、呑まれよとばかり真黒の口を大開きにする。直下に広がる虚無の大穴。
 重力が誘う落下の進路は変えられない。無謀な一手を読まれた騎士は、このまま獣の口へと墜ちてゆくしかない。
 瞬間、第三の影が真横から跳んだ。
 騎士の乗騎、髑髏の面当てを着けた馬だった。頭を下げて跳躍した忠実な駿馬は、主の脇腹にどうと体当たりを食らわす。全てはあらかじめ彼の主人がひそかに合図していたことだ。支点のない空中において軌道を変えるのは、別の力の干渉が無いかぎりありえない。
 着地した馬はそのまま走り抜け、髑髏の騎士は受け身をとって草に転がった。次の1秒で体勢を立て直す。空に向かって大口を開けている敵の胴体は、今ならがら空きだ。刹那の間も与えてはならない。
 必殺の斬撃を繰りだそうとした騎士の動きが――がくん、と止まった。
 足元を見下ろす。脚甲に覆われた足首に、蔦のつるが幾重にも絡みついている。
 人ならざる騎士が、その膂力をもって渾身で引きちぎろうとしても、単なる植物であるはずのそれは緩みすらしない。明らかに魔女の法力が注入されていた。鋼のごとき強度で、ぎっちりと足首を噛んで動かない。
 髑髏の騎士は霊樹の館を振りあおいだ。そのバルコニーの奥に立っている人物は、ここからでは単なる影だ、表情など窺えはしない。
 しかし、魔女の臈長けた微笑みを、彼は確かに見た気がした。

 巨大な黒獣は、すでに状況を把握して騎士の姿を視界に捉えていた。ぎらぎらと鈍い燐光を持つ瞳は白鉛の光沢だ。
 ごるううう、と嘲笑めいた唸りを放ち、凶犬はざりざりと前足で地を掻く。
 そして、動きを封じられた獲物へと躍りかかり――



                 *          *          *



「……おまえの愛弟子は、おまえを人格者だと思っているようだな」
 硝子の筒や、天秤や、薬研や鵞筆や古い書物。さまざまなものが並べられている棚の、ある一点に視線をやりながら髑髏の騎士は言った。
 彼が見ているものは、魔女がよく作る護符のひとつ“病除けの花束タッジーマッジー ”だ。まじないの品としては初歩的で珍しいものではない。ただ特徴があるとすれば、花々を包んでいるのが手編みのレースであることと、そこに色糸で刺繍が施されていることだろうか。刺繍の文字はこう読める。『お師匠様へ、感謝をこめて』
「日頃から鍛えておかねばならないでしょう? あなたとわたしの業のためにね」
 温順なほほえみを浮かべる老女の顔に、厳しさや険しさの気配は微塵もない。柔らかく、当たりのよい、陽光のぬくもりを思わせる古母のごとき魔女。
 しかし彼女、魔女フローラが、実はその内に烈火の激しさを秘めていることは彼女の愛弟子も知らなかった。知っているのは永き刻を共にした盟友、髑髏の騎士だけだ。彼女の内に咲く花は、ささやかな野辺の雛菊ではない、鮮烈な色を誇る大輪の鬼百合だ。彼女の内に吹く風は、水を温ませる春の微風ではない、荒雨を具した天駆ける颶風なのだ。

 彼女はときどき今日のように、館を訪れし友・髑髏の騎士に死の遊戯をしかけた。
 本気で急所を狙い、手加減なしに隙を突く。本日の勝負は久方ぶりの辛勝であったと騎士は思い返す――喰らいつかれる寸前の一瞬、黒妖犬の瞳の中にゴーレムの本体である土人形を見つけなかったら。即座に剣を投擲し、それを正確に刺し貫くのが間に合わなかったら。
 今ごろ、ここでこうして和やかに茶卓など囲んではいないだろう。

 真実の意味で生命を賭す、どう考えても物騒なこの儀式は、それでも彼と彼女の中では遊びだった。互いだけを想って全身全霊で打ち交わす、剛なる剣戟と魔力の炸裂。自らのすべてを相手に捧げる時間。彼らにとっては、なにものにも代えがたい交流のときだった。騎士がこの館を訪れるのは大抵、魔女の弟子が所用で外出しているときなので遠慮はいらない。
「ああ、待って」
 ティーカップの取っ手へと指を伸ばした騎士に、フローラが声をかけた。
 つい先ほど、獰猛な獣をけしかけてその牙に砕かせようとしていた友のために、魔女はカップにはちみつを落としてやる。もはやその舌で味を知ることも能わぬ友のために。一匙の甘さを、とろとろと。
「近頃はあまりここに来なかったわね。お忙しいのかしら?」
 魔女の口調には、友の不義理を少々からかう雰囲気があった。騎士はその形姿に相応しい、暗色に錆びた声で答える。
「白き鷹の顕現以来、幽界のものどもの現世への干渉が目立つ。看過できぬ」
「……そのようね」
 老女は、優しげな皺の刻まれた額に憂いを滲ませた。
「わたしはもう、来たるべき日への覚悟はできているけれど。わたしの弟子が、この黙示の世を無事に切り抜けられるかどうか。それだけが気掛かりだわ」
「他でもないおまえの弟子だ。あの齢にして非凡な才も持つ」
「でも、歳若さゆえの揺らぎは誰にでもあるもの。不安はないというと嘘になるわね」
「なればこそ、霊樹の魔女よ。おまえに頼みがある」
 フローラの柔和な瞳が少し見開かれた。
「あなたの頼みとは珍しいこと。何か?」
「じき、この森をある一行が通過する。小さき羽に導かれし烙印の者たちだ」
「……烙印の……」
 復唱する声には、驚きというよりも畏敬があった。贄の烙印を受けてなお、生き延びて歩む道程とはどういうものか。
「その者たちへの助力を請いたい。彼らは現世の変貌の元凶、すなわち鷹に縁ありし者たちだ。おまえが行く末を案ずる愛弟子にも、必ず何がしかの因果を齎すだろう」
「シールケへの因果とは、良い意味で? 悪い意味で?」
「どちらか決定するのは――」
「――あの娘自身、というわけね」
 魔女は浅く溜息をついた。運命への対峙。それはたとえ、己が永らえたとて、愛弟子自身が選択しなければ始まらないことだ。
「万象とは循環するもの。尽力なくして、成果は得られぬ」
 髑髏の騎士は、闇の匂う声で続けた。
「故に、おまえが我が要請を受けるのであれば、我は等しき対価をおまえに差し出そう。何を望む?」
 問われてフローラは、指先をつと口元にあてて思案した。力を貸す代償に得られるもの――この友から受け取れるもので、自分が欲しいものとは。
 ややあって、歳経た魔女は顔を上げて厳かに告げる。
「幽界の同胞よ。永き時のあいだ、我らが禁忌としてきた問いがあるわ。招かれる結論を畏れ、追及を憚り、解き明かすことを遠ざけてきた深淵の謎――。その隠匿された質問への、あなたの回答を以って、報酬として受け取りたいのですけれど」
 髑髏の面は、正面から旧友の眼差しを受け止めた。
「何なりと問え」
 魔女は重々しく頷いた。
 ひとたび瞑目し、そして括目したとき、浮かんでいたのはまるで悪戯好きな童女の表情だ。
「どうして長いあいだ、一回も口説いてくださらなかったの?」
 ……髑髏の双眸に、何らかの色は灯っただろうか。
 不吉な意匠を模った胸甲の奥は、些かなりとも動いただろうか。誰にも解らない。ただ楚々たる老婦だけが、暫しの沈黙のあと、花がほころぶようににっこりと笑う。
「冗談よ。笑ってくださらないと、冗談として成立しないわ」
 くすくすとまろやかに転がる声。騎士は無言のまま、白い底を見せている自らのカップに視線を落とした。
 この館で魔女が彼に供する飲食物は、半ば以上幽体に傾いたものだ。『飲んだ』と意識すれば、明らかに『減る』。実感覚をそもそも失った身である以上、味や香りまで愉しむことは不可能だが、両者の共有する記憶がそれを十分に補完していた。彼女の淹れる茶は、今日のような午前中は薄紅葵ブルーマロウ、午後であればたいてい加密列カモマイル。冬の宵には薬秋桐セージ級の木リンデン、夏にはしばしば香水薄荷レモンバーム。胡桃入りの焼き菓子が添えられていれば、彼女の幼い愛弟子が慎ましくそれをおねだりしたとき。
「……もう一杯、所望したい」
 ことりと卓上に茶器を戻して、異形の騎士は促した。
 はいはいと応じてフローラは立ち上がる。素朴な素焼きのポットを取りあげ、湯気とともに中身を注ぐ。あたたかな水音。
「対価はいらないわ、旧き友よ」
 自分のカップにもお代わりを注ぎながら、フローラは続けた。
「わたしの弟子に出逢いを与えてくれるのなら。善かれ悪しかれ、己自身を見つめるための岐路に立たせてくれるのなら。ほかには何も望まないわ」
 騎士は首肯した。彼女らしい申し出であると、確かに思えた。
 ひととき両者は無言でカップを傾ける。深緑の館に佇む、魔道の媼と幽鬼の剣士。古き伝承を描いたがごとき一幅の絵画。
 陶器から口を離したフローラが、思いついたように騎士のほうを向いた。
「ねえ、今日はもう一戦、交えません?」
「……健勝なことだな、魔女よ」
 手甲に覆われた指が、がしゃりと剣の柄に掛けられる。
 それを見てフローラは、今度は少しだけすました顔でゆるやかに口角を上げた。
「血気に盛っているのはあなたのほうね。わたしはあれで勝負するつもりで言いましたのに」
 いくつもの花籠が置かれた居間の、一角を指さす。
 自然木のシルエットを活かした文机には、陣棋チェスの盤と、駒のひとそろいが載っていた。






                 *          *          *






 かつての時間を、示すものはなにもない。

 乗騎に跨ったまま、髑髏の騎士はあたりを見回した。
 冬枯れに白茶けた森の最奥部。樹木の波が途切れ、いびつな円形に開けた広場。
 深閑とした静寂の中、土をまだらに這う地衣類が、低い雲から漏れる弱々しい光をせいいっぱい受け止めている。
 なんの変哲もない空間だ。
 術者が消えたいま、領域は閉じた。霊樹の館は存在しない。

 切り株すら残されてはいなかった。かの霊樹は、数百年前に同地に在った大木の幽体だが、現世では根まで朽ちていたらしい。
 あのとき黒く炭化して崩れたと見えたのも、狭間の層において幽体が滅ぼされただけだ。現世の出来事ではない。


 ぱち、と背後で、何かの爆ぜる音がした。


 騎士はしばし動かなかった。漸う、馬の首を返す。
 眼の前の虚空に、筆で一刷け塗ったように、焔の軌跡がくるりと描かれた。
 真紅と黄金の螺旋がくるくると回りはじめ、次第に速度と太さを増してゆく。見る間にそれは、たゆたう女の髪になった。細いうなじがのぞき、胴の曲線が伸び、しなやかな脚が生じる。
 熱と光にめらめらと揺らめき、曖昧ながらもやがて質感をもって。
 紅蓮に咲く、あでやかな魔女が立っていた。

 騎士は承知している。フローラの魂は、既に遠い処へと旅立った。
 しかし永く同じ地に留まっていたものは、その層に焼きつくがごとく影響を残す。人の子は亡霊と呼び、魔道の徒は思念と呼ぶ。これはその残滓だ。
 匂いのようなものだ。それであったものの欠片だが、そのものではない。

 騎士は、紅蓮の魔女にじっと視線をあてて、一声を発した。
「詫びに来た」
 焔でできた女は、艶めいた仕草で小首を傾げる。
「わたしは、あなたに何かされたかしら」
「約定を違えた」
 剣士の声は粛々と紡がれる。
「おまえの死が安らかに保たれるよう、取り計ろうと試みたが、適えること能わず」
 ああ、と形のよい顎が頷く。人としての最期のとき、戦魔兵の掛けた炎に囲まれ、生きながら灰塵と散っていったのは事実だ。
 魔女は、しかし嫣然と微笑んだ。
「でも、わたしらしかったわ。あのほうが」
 愛弟子を護るため、自らを焦がす炎とそれに炙られる痛苦を媒介にして、魔女はありし日の姿で追手の前に立ち塞がった。確かにその姿は、騎士の知るかつての彼女であった。凄艶なまでに美しい、猛々しき紅。烈華の魔女。

 たなびく髪先にちらちら火の粉を巻いて、フローラは住処の跡地を見回す。
「雛鳥が飛び立てば巣は朽ちるもの。悔いはないわ。わたしの弟子とは再び、夜の夢で逢えるでしょう。だけど……あなたは夢を視るのかしら?」
 細く燃える指先をつと口元にあて、いつかのように魔女は思案顔をつくる。
「まあ、同じ因果の仲ですものね。今ではない刻、此処ではない場所、幾億の夜のいずれかひとつで行き交うこともあるでしょう。その日まで、どうかご息災でいらしてね……」
 焔の女は瞳を細めた。それじゃあ、とだけ言い残し、くるりと背を向ける。
 まるで些細な日常の別れの一場面だった。明日もいっしょに遊ぶつもりの子供たちの、ほんの気安いさよならの挨拶。緋色の足を踏み出して、一歩、二歩、三歩。
「行くな」
 魔女は、立ち止まった。
 声なき無音が場を満たしてゆく。双つの影のあいだを、沈黙だけが繋ぐ。ゆっくりと、とてもゆっくりとフローラは振り返る。
 人ならざる髑髏の面からは如何な表情も窺えなかった。ただ騎士は、懐へと手を挿しこんで小さな物体を取り出す。
 熱持たぬ手のひらには、陣棋チェスの駒がひとつ載っていた。
「行くな。――まだ、あの日の勝負が決着しておらぬ」
 フローラは少女のように瞬きをした。あの日の勝負。
 弟子が帰宅するまでに決着がつかず、生憎とお預けになってしまったあの日の勝負。
 騎士の手中にあるのは女王クイーンの駒だった。かつて館に置いていた陣棋チェスのひとそろいは、本来ならあの領域が閉じたときに一緒に消滅したはずだ。なのに今、この駒だけが形を為しているのは、騎士が己の幽体のひとかけを注ぎこんでいるからに違いなかった。恐らくは戦魔兵の襲撃から逃れる際、急ぎ拾いあげたのだろう。焼け落ちた館の中から。

 女の表情が、陽炎のむこうでゆらりと溶けた。
 その顔には二つの色彩がある。ひとつは、どうして殿方はもっと気の利いた言い方ができないのかしらという優しい呆れの色。
 もうひとつは?
「……長考させてちょうだい。旧き友よ」
 何かをこらえて瞳を伏せ、総身に真紅を宿した女はそっと囁いた。
陣棋チェスはいつも、あなたのほうが強かったもの。それくらいの有利はくださってもいいでしょう?」
 一歩、二歩、三歩。フローラは騎士へのもとへと歩み戻る。
 大柄な屍馬の前に立ち、ついと背伸びをする。その動きだけで、彼女の爪先はふわりと地から離れ、眩い裸身は鞍上の騎士のそばまで浮かび上がる。
 棘だらけの仰々しい肩甲に触れ、骨でしかない輪郭に触れ。
 唇とも呼べぬ骸の口元に、かすめるだけのくちづけ。
 そして紅蓮の魔女は、指先から透きとおり、薄く、淡く、大気へと浸透して消えた。


 残された騎士は、永いあいだ佇んでいた。
 やがて女王クイーンの駒を懐へと戻し、手綱を引いて森を出てゆく。


 残された樹々だけが、意を汲んだように、風を孕んでさやさやと揺れていた。



Fin.








Fair is foul, and foul is fair: Hover through the fog and filthy air.  (Macbeth)
O tiger's heart wrapt in a woman's hide!  (Henry IV, Part3)

2012/10/18