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(2013年 追記)
以下の文章『少女に何が起こったか』は、2003年ごろ、XXがシリーズ最新作だった時代に書いたものです。
引用している情報も当時のもので、そのあと出たシリーズの内容は反映しておりません。
いまや普通にザトーとミリアは恋仲だったと公式出版物(10thメモリアルブック)にも記載されておりますが、当時は未確定要素が多かったので、ザトミリの関係性を補完したくて書きました。
古い文章ですが、2003年当時の私の思い入れが面白くもあるので手入れして掲載しておきます。


なお、ギルティギア10thメモリアルブックが出たときに追記した文章は以下の通りです。
「石渡太輔氏は、ミリアというキャラクターについて
『犯罪から足を洗った過去を持つキャラクターですが、彼女には「社会的に忌み嫌われ、存在を許されない人物を愛してしまう感情をみなさんはどう思いますか?」というメッセージを込めています』
と述べている。 (参考:ギルティギア10thメモリアルブック 70P)
……私は、2人のあいだにあるものが誰よりも強い感情ならそれでいいと思っていましたが、明確に表現してもらえるとやはり目の前が開けたような気分にもなりました。ありがとう石渡さん。」




考察・妄想語り――少女に何が起こったか

ここでいったん、ザトーとミリアの関係を、肉体的な方面について整頓してみましょう。
まず、あの2人について私の推察を『考察・妄想語り』から引用。

* * *

●初代PS版では、ミリアもザトーも、お互いに意識しまくったセリフの応酬がある。
ゼクスになるとミリアのほうが、行方をくらましたザトー(=エディ)を追っている。
……にも関わらず、ザトーのほうだけがストーカー呼ばわりされがちなのは何故でしょう?
追いかけ回してるのはミリアのほうなのに

●ミリアのセリフには、『束縛』のイメージも見られますが……
これはザトーによる束縛というより、基本的にはミリア自身のメンタルの問題だと思います。
自分自身の矛盾に身動きできなくなったのが、彼女の『束縛』。
部下には優しかったらしいザトーとか、ザトーを再起不能にしたことの罪悪感にかられるミリアとか、そのへんの辻褄を合わせればこうなる気がします。

* * *

さて、これを前提にして……

GGXX・エディのストーリーモードにおける
エディ: 「我々ハ記憶ヲ共有シテイタ。知ッテイルゾ。ヤツガオマエニ何ヲシタノカ」
ミリア: 「それで私を怒らせてるつもり? 死にたいなら協力はしてあげるけど」

このスキャンダラスな会話。これは何が暗示されているのか?

禁呪を植えつけたことだと見るには、少々もったいぶりすぎではないでしょうか。
またミリアの「あなたは私を汚し」という発言も、いかにも男女の肉体的な事件を表わすように思えます。

なお、初代GGの取説ではミリアは「ザトー…あの×××が…」とも言っています。
男性に対する侮蔑語でフセ字になるものでしかも3文字ってほかにあまり考え付きません。
まあこれは冗談半分ですが、このへんを真面目に考えるならむしろミリザトの流れが妥当です。自分で育てた少女だと思うと罪悪感が勝ってしまい抱けないザトー。拒まれた哀しみがやがて憎しみに変わりはじめるミリア、とか。
そう捉えると、ザトーのことを×××呼ばわりするのが自然になるなと。

何にせよこれらは推測です。
エディが指しているのは単に禁呪のことかも知れないし、もしかしたらもっと別のことかも知れない。
ただとりあえず今回は、いったん肉体関係のことだと仮定してみましょう。

その場合、ありていに言って問題なのは合意かそうでないかということ。
確かにミリアはザトーを憎んでいる。しかし周知のように、彼女のザトーへの言動はどれも複雑すぎる。
ザトーを生きながら苛んでいるエディに対し「貴様ぁぁぁ!」と怒り狂ったり、
ザトーを倒したカイに「敵討ちさせてもらうわ」と挑みかかったり、
ザトーを弔うのは「私の仕事」と言ったり、殺そうとしたくせに「死ぬな!私から逃げるな!」と言ったりもういろいろ。

もちろん彼女は、「あんな男、何度だって殺す」・「おまえは私の過去だ。断ち切ってやる」とも言う。
でも、それなら死んでくれればOKのはずなのに、彼女はザトーの穏やかな死にざまを見て
「これ以上わたしを掻き乱すな!」などと異常に心を乱されたりしている。
せっかく組織から足を洗えたはずなのに、また自分からザトー探しに出かけてるし。

そもそも……彼女の負け台詞には「ザトー……」という呟きが存在する。
人間が死の間際につぶやく名前とは、普通どういうものでしょうか。

ミリアの感情の発露について、明記されている事柄をまとめてみると……
断ち切ってやると断言し、憎み足りないと罵倒し、何度でも殺してやるとうそぶき、解放してほしいと願い、それでいて倒したことに罪悪感を感じ、彼を虐げる存在を憎み、仇討ちをして、最期には彼の名を呼ぶ。
矛盾していますがどれも彼女の本気なのでしょう。

長い前フリでしたが本題に戻りましょう。
★ミリアは「汚された」と言っている
★他人(エディ)から見れば、その行為はミリアを怒らせそうなことだった

この2つから見ると、ザトーのほうが強引に関係を迫ったように思える。
しかし上に挙げたように、ミリアはどう見ても憎しみ以外の感情にふりまわされている。
もし、関係を強いられたはずの彼女にも、何らかの葛藤があったのだとしたら……憎い相手のはずなのに、自分に迷いがあるのが許せず、それが矛盾した言動に出ているとしたら……納得がいく気がします。

ここからは推測まじりですが。
かつてミリアは、ザトーのことを憎からず想っていた。しかし自分は愛されないと勝手に思いこんだ、根が臆病者のザトーは……彼女の意思を尊重することなく強引にあるいは圧力的に関係を求めた。
未遂であれなんであれ、気持ちが確定するまえにそういうことをされたミリアは、彼を否定することしかできなくなった。
自分がザトーを想っていたということまでザトー自身に否定されたから。
おまえの気持ちなんかいらない、と言うに等しい暴挙によって踏みつぶされたから。
憎いですよこれは。


あれこれと語りましたが……
実は私としては、肉体関係のあるなしはどちらでもいいです。それによって多少の揺らぎは生まれますが答えはひとつです。
何があったにせよ、ミリアがザトーに抱いている憎しみは、とても強い感情がほかにあってこそ。
その感情につく名前すらも、どうでもいいといえばどうでもいい。とにかくザトーにはミリア、ミリアにはザトーしかいない。お互いに誰よりも強い感情を向けあっているのだと。

……「格ゲーのシナリオにそこまで入れ込まんでも」というツッコミが自分の中からも聞こえなくは無いですが、ファンはそれしか頼りがないということで。


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